「従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引に関する実務上の取扱い(案)」の公表
Ⅰ従業員持株会に信託を通じて自社の株式を交付する取引に関する会計処理
1. 個別財務諸表における総額法の適用
当該信託について、企業は期末に総額法を適用し、信託の財産を企業の個別財務諸表に計上します。
2.自己株式処分差額の認識時点
信託による株式取得が、企業の自己株式処分により行われる場合、企業は信託からの対価の払込期日に自己株式の処分差額を認識します。
3.期末における総額法等の会計処理
■信託の自社の株式残を株主資本において自己株式として計上します。
■信託の株式売却差損益・配当金・諸費用の純額が正(負債)、負(資産)計上します。
■信託の借入金返済等の資金が不足する場合には負債性の引当金の計上の要否を判断します。
■自己株式の処分及び消却時の帳簿価額の算定上、企業が保有する自己株式と信託が保有する自社の株式の帳簿価額は通算しません。
4.連結財務諸表における処理
企業は、総額法により個別財務諸表に計上した信託について、子会社又は関連会社に該当するか否かの判定を要しません。連結財務諸表作成上、そのまま引き継ぎます。
Ⅱ受給権を付与された従業員に信託を通じて自社の株式を交付する取引に関する会計処理
1. 個別財務諸表における総額法の適用
上記Ⅰと同じ。
2.自己株式処分差額の認識時点
上記Ⅰと同じ。
3.従業員へのポイントの割当等に関する会計処理
■企業は、従業員に割り当てられたポイントに応じた株式数を、信託が自社の株式を取得したときの株価を乗じた金額を基礎として費用及びこれに対応する引当金を計上します。
■信託から従業員に株式が交付される場合、企業はポイントの割当時に計上した引当金を取り崩します。引当金の取崩額は、信託が自社の株式を取得したときの株価に交付された株式数を乗じて算定します。
4.期末における総額法等の会計処理
上記Ⅰと同じ。
5.連結財務諸表における処理
上記Ⅰと同じ。
開示等
以下を注記することとされています。
■取引の概要
■総額法の適用により計上された自己株式について、純資産の部に自己株式として表示している旨、帳簿価額及び株式数
■総額法の適用により計上された借入金の帳簿価額
以下を株主資本等変動計算書に注記します。
■当期首及び当期末の自己株式数に含まれる信託が保有する自社の株式数
■当期に増加又は減少した自己株式数に含まれる信託が取得又は売却、交付した自社の株式数
■配当金の総額に含まれる信託が保有する自社の株式に対する配当金額
1 株当たり情報の注記
1株当たり当期純利益の算定上、期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含め、また、1株当たり純資産額の算定上、期末発行済株式総数から控除する自己株式に含めます。 総額法の適用により計上された自己株式を、控除する自己株式に含めている旨並びに期末及び期中平均の自己株式の数を注記します。
適用時期
平成26年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用されます。ただし、本実務対応報告公表後最初に終了する事業年度から適用することができるとされています。
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